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2020.07.07 病原体

新型コロナ“くらし”の感染対策あるある(暑い日のマスク)―感染管理看護師(ICN)からの発信 著者:細田 清美

 

新型コロナウイルス感染症の発生以降、マスクの着用と手指消毒による感染対策が日常生活の一部になっています。職場の同僚が一瞬外したマスクの顔に「こんな顔だったっけ?」と新鮮に思う今日この頃です。

毎日蒸し暑い日が続く中、「施設の外作業にマスクを着けていると暑くて耐えられないので、外していいでしょうか」と質問されました。マスクの着用は、自分の飛沫を他人に飛ばさないことが目的です。また、新型コロナウイルスでは、マスクを着用せず、一定の時間(15分以上)の接触が感染のリスクとなります。外で間隔をとって作業するうえでは、マスクは必要ありません。熱中症が心配なので外して作業するようにお伝えしました。日常生活では、暑い日の外出時のマスクの着用は苦痛ですよね。徒歩や広い駐車場であれば、施設内に入る前にマスクを着用すれば、途中で人とすれ違っても感染することはありません。

様々な商業施設の中では、マスクの着用に加え、一定間隔の保持、窓口やレジ前のビニールカーテン、作業する人は手袋を着用と、新型コロナ流行前の風景とは一変しました。しかしながら、不特定多数の人がショッピングカートやエスカレータの手すりベルト、ドアノブなど様々な物に触ります。このため、「私たちの手はずっと汚染されている」と考えることがとても大事です。

暑い日は特に、マスクの表面を摘まんで引っ張って離す、マスクの両脇に指を入れて隙間を作ることでマスク内の熱気を払うと、新鮮な空気が入り気持ちがいいです。ですが、マスク表面の汚染や汚染された指先が口元に触れてしまいますので注意が必要です。知り合いの人との立ち話は、聞き取りにくいためマスクを外して話すことにもつながります。なるべく控えて帰宅しましょう。そして帰宅時。「マスクは暑い!」とマスクを外し、早々に汗ばんだ口元を手のひらで覆って汗を拭っていませんか? 帰宅後は、まず手洗いをしましょう。

利用施設がどのような対策をしていても、本来実践すべき対策は、必要なタイミングに手を清潔にすることと、マスクは鼻と口を覆い正しく着用することです。

(著者:社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福井県済生会病院感染対策室 細田 清美)

著者プロフィール

細田 清美(ほそだ きよみ)

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福井県済生会病院感染対策室

看護師、感染管理認定看護師。日本環境感染学会の評議員、日本感染管理ネットワーク東北北陸支部の副支部長を務める。著書(分担)に、看護における医療器材の取り扱いガイドブック~器材の再生処理・使用・保管管理~(ヴァン メディカル刊)がある。

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