新型コロナウイルスの感染予防として、手指の清潔はとても大切です。そのためには、「石鹸と水道水による手洗い」もしくは「アルコール手指消毒薬によるアルコール手指消毒」を行います。アルコール手指消毒薬を用いる場合、アルコール濃度がとても重要です。低い濃度もしくは余りにも高い濃度では殺菌効果が減弱してしまうからです。しかし、巷の店頭に並んでいるアルコール手指消毒薬の中には濃度が記載されていないものがあります。そのような製剤を使用してもよいのでしょうか?
アルコール手指消毒薬ではエタノールが主成分ですが、それはどのように効果を発揮するのでしょうか? エタノールは病原体の蛋白を変性することによって効果を示します。米国疾病管理予防センターは60~95%のエタノールが最も効果的であり、これ以上の濃度では効き目が低下するとしています(1)。蛋白は水のないところでは容易には変性しないからです。
厚生労働省はエタノール濃度として「原則70~83%」としていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行によってエタノール製剤が入手しにくくなったことと、米国疾病管理予防センターが60~95%を推奨していることから、新型コロナウイルス感染症の流行期間中に限定して、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、手指消毒用として、60%台のエタノールを使用しても差し支えないとしました(2)・・・
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