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2020.08.18 病原体

航空便搭乗 飛行中にコロナうつる?―夏とレジャーとコロナ対策 著者:矢野 邦夫

 

飛行機内ではロビーと異なり、座席を選ぶことができません。人がまばらなところの座席を選択できないのです。しかも、隣の人との距離は1m以内であり、かつ、飛行時間も数十分から数時間(国際線の場合には10時間以上のこともある)となります。

まず、強調したいことは空気感染の心配は不要ということです。新型コロナウイルスは空気感染しないことと、機内の換気は優れているからです。そのため、「飛沫」とテーブルや肘掛けのような「手指の高頻度接触面」への対応となります。したがって、機内にいる人々は全員がマスクを着用する必要があります。感染者がいた場合に、ウイルスを周辺に拡散させないためです。また、トイレを使用するときに通路で他の乗客とすれ違うと顔面がかなり近付きます。そのような状況に備えるためにも確実にマスクを着用します。

テーブルや肘掛けを清潔にしておくことも大切です。自分の座席の前利用者が感染者であった場合、座席周囲にウイルスを付着させた可能性があるからです。ウイルスはプラスティックの上で最大3日間生息できるので(1)、現在も生き残っているかもしれません。もちろん、航空会社は客の搭乗の前に、そのようなところの拭き取りをしていると思いますが、確実性を高めるために自分でも拭き取るとよいでしょう。また、自分の手指がそこに触れたら、顔面に無意識に触れる前に手指消毒をします。

ただ、大きな問題があります。飛行機に搭乗するときには可燃物は所持できません。アルコール手指消毒薬は引火性があるので、持ち込むことは困難です。航空会社は「アルコール度が24%を超え、70%以下のものは1人あたり5Lまで、機内持ち込んだり、預けたりしてもよい」としていますが(2)、アルコール手指消毒薬は濃度が70%を超えていることが多いので、持ち込むことができないのです。そのため、除菌ウェットティッシュを持ち込むとよいでしょう。除菌ウェットティッシュは必ずしもアルコールを含んでいる必要はありません。第4級アンモニウム塩(ベンザルコニウムやベンゼトニウム)などの消毒薬が含有されていれば十分です。石けん水でも十分に効果があることがわかっています。そのため、除菌ウェットティッシュで十分に対応できます。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

〔文献〕
(1)van Doremalen N et al:Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1. N Engl J Med 2020; 382:1564-1567
(2)ANA:機内持ち込み・お預かりに条件があるもの(国内線).
https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/prepare/baggage/limit/caution-restriction03.html

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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