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2020.06.09 病原体

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(手袋のつけっぱなし)―うっかりやりがちな感染対策の間違い 著者:矢野 邦夫

 

バスや電車に乗っていると、ビニール手袋を着用している人を見かけることがあります。病院に受診する人の中でも手袋をしている人がいます。デパートの地下の食品売り場のカウンターでは手袋を着用して業務をしている従業員がいます。その目的は何でしょうか?

ウイルスがドアノブなどの環境表面に付着していて、そこに触れることによって、ウイルスが手指に付着し、そのまま眼や鼻の粘膜に触れて感染するという伝播経路があります。それを避けるために、日常生活で手袋を着用しているならば、それは明らかに間違いです。

手袋を着用したまま様々なところに触れれば、手袋の表面に病原体が付着します。そのような汚染した手袋で別の環境表面や食品などに触れれば、それらを汚染してしまいます。もちろん、そのような手袋をした手で自分の顔などに触れれば、感染することでしょう。手洗いや手指消毒が最も大切な新型コロナウイルス対策ですが、手袋を着用している時には手洗いも手指消毒もできません。手袋を着用したままという行為は感染対策を最も低下させてしまうのです。確かに、食品売り場などで、従業員が素手で商品に触れるよりも、手袋した手で触れた方が、見かけ上は清潔に見えるかもしれません。手袋に付着しているウイルスは肉眼では見ることができないからです。しかし、一般市民に「清潔にした素手」と「不潔な手袋」のどちらが安全かの啓発をすることによって、このような事態を乗り越えることができると思います。

病院では新型コロナウイルス感染症の患者を診療する時には手袋を着用します。しかし、診療を終えて病室から退室するときには手袋を取り外して、手指消毒をします。決して、手袋を着用したまま、廊下や病棟を歩くことはありません。病院で手袋を着用しているということで、それを日常生活に持ち込むことは適切ではないのです。手袋は数分~十数分しか使用しない個人防護具です。半日とか一日中、着用するものではありません。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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