消毒薬の希釈時に「濃度計算がわかりにくい(めんどくさい)」と思ったことはありませんか? たとえば、次亜塩素酸ナトリウムは、表記が「%」だったり「ppm」だったりするので、原液と水の割合をどうしたらいいの? とよく質問されます。筆者も「0」が増えると、こんがらがります。冬の感染症流行シーズンの前に「濃度」について整理しておきましょう。
■濃度(%)
濃度とは、水溶液に原液がどれだけ溶け込んでいるかを表す数値で、パーセント(%)で表示され、数値が大きくなるほど水溶液は濃くなります。消毒薬の濃度表示は、一般的に容積に対する有効成分の重量(w/v%)で表され、w/v%は「溶質の重量(g)÷溶液の体積(mL)×100」で計算します(1)。たとえば、0.9w/v%の生理食塩水は、溶液100mLの中に、食塩が0.9g溶け込んでいるということです。
アルコールはvol%(v/v%)で表記され(1)、「溶質の体積(mL)÷溶液の体積(mL)×100」で計算します。70vol%エタノールとは、溶液100 mL中に、エタノールが70 mL溶け込んでいるということです。
■ppmとは
ppm(ピーピーエム)とは「parts per million(パーツ・パー・ミリオン)」の頭文字を用いた略語です。「100万分の1」という「割合」を表します。1 ppmは100万分の1なので、0.000001となります。0.1%は0.001なので、ppmを求める式は0.001÷0.000001(0が5つ)=1,000となり「0.1%」は「1,000ppm」ということになります。
■次亜塩素酸ナトリウムの使用時の濃度
次亜塩素酸ナトリウムは、塩素ガスを発生させるので、濃ければ良いというものではありません。適正濃度で、換気をしながら使用することが必要です。
・見た目に汚染されていない高頻度接触面:0.01~0.05%(100~500ppm)(2,3)
・吐物に汚染された床や感染者が使用したトイレの便座:0.1%(1,000 ppm)(1)
■まとめ
① %(percent):溶液に原液が溶け込んでいる割合。w/v%やvol%がある。
② ppm(parts per million):100万分の1という割合。1 ppmは0.000001なので、0.1%=0.001。つまり「0.1%=1,000ppm」となる。
(著者:国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科看護学分野 准教授 感染管理認定看護師/感染症看護専門看護師 坂木 晴世)
〔文献〕
(1)大久保憲, 尾家重治, 金光敬二:2020年版 消毒と滅菌のガイドライン 改訂第4版,へるす出版, 東京,2020
(2)一般社団法人日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版.http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide4-2.pdf (Accessed on November 16, 2022)
(3)Centers for Disease Control and Prevention:Preventing Norovirus. 2021 https://www.cdc.gov/norovirus/about/prevention.html (Accessed on November 16, 2022)