沖縄県の新型コロナウイルス累計感染者数が2021年4月6日に1万人を超えました。3月26日に9,000人を超えてから、わずか11日で約1,000人増えたことになります。第3波の今年1月13~24日の11日間にも6,000人から7,000人に増えましたが、それとほぼ並ぶ増加ペースであり、沖縄県では第4波の真っただ中と考えてよいと思います。指定医療機関である琉球大学病院でも入院症例、および重症例が日々増加しています。国の指標でも3つがステージ4(爆発的感染拡大)に入っており、5日に大阪府などで始まった「まん延防止等重点措置」適用の目安であるステージ3を超える状況に加えて、直近1週間の人口10万人当たり新規感染者は45.0で全国ワーストの状態を継続しています。
沖縄県の現状は、すでに4月1日に始めた営業時間の短縮要請の効果を期待している段階で、私権制限を伴う重点措置の適用に慎重です。以前にこのコラムで「Go To トラベル」についてコメントしましたが、新型コロナウイルス感染症は、無症状の若者の旅行、飲食に伴って流行が拡大すると理解されています。このため人の移動を推奨する「Go To トラベル」が最悪の結果をもたらすことは自明のことです。それにもかかわらず、沖縄県は全国新聞数紙に一面新聞広告を出し、県外からの旅行者を積極的に沖縄に誘致しようとしています。
これまでの第1波から第3波の経験で、最も予防効果があったのが、約1年前に発令された全国一斉の緊急事態宣言でした。このような強い政策を実施しないと、この感染症を抑え込むことはできません。もちろんこの宣言を沖縄県のみに適用しても効果がなく、人の移動を日本全体でいったん止める政策が求められていると考えます。都道府県知事は観光を推奨して経済を回すか、感染者数を減らすか、の難しいかじ取りを行っています。第4波の今こそ、国全体のかじ取りが求められます。
(著者:琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科) 教授 藤田 次郎)