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2021.01.15 病原体

目で見る病原体 ②髄膜炎菌 著者:斧 康雄

 

54歳の女性で、40℃の高熱,悪心・嘔吐,意識障害があり、髄膜炎の疑いで入院しました。髄液のグラム染色像で多数の好中球がみられ,細胞外の菌は少ないですが、好中球に貪食されたグラム陰性双球菌がみられます。

髄膜炎菌(Neisseria meningitidis:ナイセリア・メニンギティディス)は,グラム陰性の双球菌でヒトの鼻咽腔に生息し,飛沫により気道感染を起こします。健常保菌者は5~15%とされますが,保菌/発症の機構は不明です(気候,栄養状態,宿主の免疫力などが考えられています)。世界で年間30万人の患者発生と3万人の死亡がみられます。流行性脳脊髄膜炎のほかに菌血症,稀に肺炎を起こします。流行性脳脊髄膜炎は5歳以下の小児に多くみられますが,日本では稀な疾患です。また,感染を受けても発症せず保菌者になる例も多いと報告されています。髄膜炎症状を欠く菌血症で,激しい全身症状と,下肢に出血斑や水疱などの皮膚病変や副腎出血を合併し,電撃的な経過をとる場合があります(Waterhouse-Friderichsen 症候群)。髄液・血液から本菌を検出し診断しますが、髄液のグラム染色やラテックス凝集反応が迅速診断に役立ちます。治療はペニシリン系薬が第一選択薬です。予防は患者の隔離,リネン類(布団,衣服など)の消毒の他に,濃厚接触者にはリファンピシンの予防投与が行われます。

著者プロフィール

斧 康雄(おの やすお)

帝京大学医学部微生物学講座 主任教授

感染症専門医/指導医、総合内科専門医、消化器病専門医、抗菌化学療法指導医、ICDなど。徳島大学医学部1981年卒業、医学博士(東京大学)。

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