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2021.01.14 病原体

目で見る病原体 ①肺炎球菌 著者:斧 康雄

 

70歳男性の気管支吸引痰(膿粘性)のグラム染色像です。多数の好中球と莢膜を有するグラム陽性の双球菌が多数みられ​ますが、好中球の細菌貪食像は​顕著では​ありません。​細菌培養で肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae:ストレプトコッカス・ニューモニエ)が検出されました。

肺炎球菌は厚い莢膜を有するランセット型双球菌​で約90種の血清型があります。莢膜保有菌は食細胞の貪食作用に抵抗し、莢膜産生能と毒力は相関​します。ニューモリジン(溶血毒)なども産生します。本菌は、健常者の上気道に5~20%常在​し、市中発症の細菌性肺炎の起炎菌として最​も​多​く、急性気管支炎や慢性気道感染症、髄膜炎、菌血症、心内膜炎、関節炎​や耳鼻科領域感染症(中耳炎、乳様突起炎、副鼻腔炎​)などを起こします​。近年、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の増加がみられ、​特に髄膜炎​などで臨床的に問題になります。​PRSPのβ-ラクタム系薬耐性機序は作用点であるペニシリン結合タンパク質(PBP)の変異によります。​診断には、喀痰や髄液などの体液を用いたグラム染色​が有用ですが、病巣からの肺炎球菌の分離培養・同定(肺炎でも血液培養を行う)​で確定診断されます。​イムノクロマト法​を用いた迅速診断法(尿、髄液)も診断に役立ちます。

著者プロフィール

斧 康雄(おの やすお)

帝京大学医学部微生物学講座 主任教授

感染症専門医/指導医、総合内科専門医、消化器病専門医、抗菌化学療法指導医、ICDなど。徳島大学医学部1981年卒業、医学博士(東京大学)。

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