執筆しているのが11月14日であるので、掲載された時には状況が変わっている可能性があることをご了承ください。北海道・札幌市は、第3波真只中で、原則として自宅療養をしないということでしたが、ホテル入所が困難になってきました。本日、高度脱水の自宅療養中の患者さんが当院に入院しましたが、このような例も増えてきました。各病院では新規入院を何とか受け入れていますが、そろそろ限界です。残念ながら歓楽街でのクラスターが絶えることがなく、陽性者の広がりとともに高齢者施設へ飛び火する悪循環となっています。感染は札幌から地方へと広がり、地方の病院や高齢者施設への感染対策支援も必要です(一部を除いて、どの施設も必死に対応してくださっています)。当院も含めて、病院職員・教員・学生の感染、もしくは、濃厚接触が発生し、大学・病院機能を維持することも厳しい状況です。また、当院の高度救命救急センターなどでは重症の感染者を治療しており、コロナ以外での救急搬送が円滑ではなくなってきました(相当に危機的です)。
検査については、当院と各保健所(札幌以外)は限界近くまで頑張っており、結果報告も可能な限り迅速です。さらに、当院は大量の検体を処理するために、11月13日から自動化機器による抗原定量検査を開始しました。保健所からの検体も大歓迎なのですが、手続きに(なぜか)相当な時間を要しています。4~5月の混乱時期が過ぎて、比較的落ち着いた時期があったのに次の流行に備えることができず、以前と同じ混乱を生じています。実際に患者さんを診療し、満点ではなくても実施可能な感染対策をし、臨床検査に専門性を有している、事件は現場で起きていることを理解している専門家の先生方には、是非、劇的な特効薬を示していただきたいと切に願っています(まぁ、あったら、とっくに飛びついているわけで、地道にクラスターや濃厚接触者対策を行い、鎮火させていくしかないのでしょうね)。
(著者:札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座 教授 髙橋 聡)