模試や入試の会場でも新型コロナに感染しないようにしなければなりません。模試で感染してしまったら、本番の入試に大きなダメージとなります。本番の入試会場で感染すれば、複数の学校を受験する受験生では、次の学校の入試が危うくなります。そのため、模試・入試会場のどこに危険が潜んでいるかを知ることは感染予防としてとても重要なことです。
試験会場には何百人や何千人もの受験生が訪れています。そのなかには、新型コロナの流行地域からの受験生もいることから、試験会場には感染者がいる可能性が高いことを認識すべきです。受験生の年齢は若く、十代であることがほとんどであることから、感染していても無症状であったり、ごく軽度の症状ゆえに感染していることに気付かないこともあります。あまりにも軽症なので、まさか自分が新型コロナに感染しているとは思わず、受験に来ている人もいるかもしれません。さらに、2~3日間の受験日程の間に発症する受験生もいる可能性はあります。そのような受験生には感染性があり、しかも、試験会場に何時間も滞在することから、周囲の環境をウイルスで汚染する可能性があります。特に、ドアノブや手すりといった「手指の高頻度接触面」が感染源になりやすいといえます。さらに、会場の出入り口では多くの受験生が交差し、混み合った状況となります。トイレも混み合った状況となることでしょう。また、昼食時には一斉に食事をするため、マスクを外した受験生が一堂に会することになります。そのようなところでは、飛沫に曝露する機会は増えると思います。
受験日のほとんどが冬期であることから、受験会場の室内温度を確保するために、試験中は窓や扉が閉められます。そのため、空気感染を心配する人もいるかもしれません。そのような心配は必要ありません。このウイルスは飛沫感染するのであり、空気感染は例外的な状況のみで発生するからです。そして、受験会場は大学や高校などの施設であることが多く、室内の換気回数が確保されています。空気のウイルス汚染については心配せず、飛沫曝露を回避することに全力を尽くしましょう。
(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)
もっと知りたい人はこちら
↓