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2020.10.15 病原体

〔受験生の日常編〕トイレでのコロナを防ぐ!―受験生を守るコロナ感染対策 著者:矢野 邦夫

 

男性用トイレでは複数の小便器が並んでいます。そして、小便器と小便器の間は1m以内のことがあります。これは飛沫が届く距離なので注意が必要です。しかし、前を向いて排尿しているし、人々はマスクを着用していることから、実際には感染することはほとんどないでしょう。女性用トイレや大便用の男性トイレでは個室になっているので、周囲の人から飛沫を浴びる危険性はありません。しかし、トイレの出入り口では人々が行き交うことから、飛沫を浴びる可能性はあります。そのため、必ずマスクを着用します。

新型コロナに感染した人の便にはウイルスが含まれていることがあります。そのため、感染者が使用したときに、便器の水を流すとウイルスがエアロゾルとなり、空気中に浮遊するのではないか、と心配する人がいます。そのような心配は不要です。トイレの水を流すことによって新型コロナに感染したという事例は皆無だからです。そのようなことを心配するならば、トイレのドアノブや蛇口のレバーといった「手指の高頻度接触面」に注意を払うべきです。温水洗浄便座のスイッチ部分やトイレの使用後に水を流すための洗浄ボタンも同様にウイルスが付着している可能性があります。このようなところには、新型コロナのみならず、ノロウイルスや大腸菌など様々な病原体が付着しているかもしれません。そのため、トイレでの感染を防ぐためには、使用後の手洗いがとても大切です。

トイレに手指温風乾燥機が設置してあれば、それは使用しましょう。乾燥機で手指を乾かすことによって舞い上がるエアロゾルで感染したという事例はないからです。むしろ、濡れたままの手指には病原体が付着しやすいので、早く乾かすことをお奨めします。

ときどき、トイレを使用している人が感染者であった場合、呼吸によって空気が汚染し、それを吸い込むと感染するのではないか、と心配する人がいます。新型コロナは空気感染しないので、心配ご無用です。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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