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2020.08.25 病原体

航空便搭乗 コロナを防ぐ手洗い・手指消毒―夏とレジャーとコロナ対策 著者:矢野 邦夫

 

幼稚園や小学校のころから、先生に「トイレの後や食事の前には手洗いをしましょう」と教育されてきました。新型コロナウイルスの流行によって、「手指の高頻度接触面(ドアノブなど)」に触れた後の手洗いも重要であることが明らかになりました。そのため、手洗い・手指消毒のタイミングは「トイレの後」「食事の前」「手指の高頻度接触面に触れた後」の3つとなります。

トイレの後や食事の前の手洗いは、手指に大腸菌などが付着していた場合、それが口に運ばれないことを目的としています。しかし、新型コロナウイルスの感染対策としての手洗いは、ウイルスが付着した手指が眼、鼻、口の粘膜に無意識に触れる前に手指からウイルスを洗い流そうとするものです。手指は頻回に顔に触れていることから、手洗いを頻回に行う必要があるのです。

本来ならば、頻回に手指を消毒できるアルコール手指消毒薬を機内に持ち込みたいのですが、可燃性のあるものは持ち込めません。そのため、除菌ウェットティッシュを頻用することになります。除菌ウェットティッシュは必ずしもアルコールを含んでいる必要はなく、第4級アンモニウム塩(ベンザルコニウムやベンゼトニウム)などの消毒薬を含んでいるものでも構いません。

それでは、機内での「手指の高頻度接触面」にはどのようなところがあるのでしょうか? まず、座席周囲では肘掛けやテーブルがあります。航空会社でも、乗客の搭乗前には消毒していることと思いますが、消毒が不十分のこともあるので、このようなところに触れたら手指消毒をします。そして、自分でも肘掛けやテーブルを消毒しておくことをお勧めします。もちろん、除菌ウェットティッシュで十分です。トイレを使用した後には、手洗いをすると思いますが、トイレのドアノブに触れて、扉を開けてからトイレから出ることから、そこでも手指が汚染されます。トイレから自分の座席に移動するときに飛行機が揺れると、身近な座席の肩の部分をつかんで、体を支えることから、そこにも手指が触れます。したがって、トイレに行ったときには、座席に戻ったときに、手指を除菌ウェットティッシュにて消毒するとよいでしょう。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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