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2020.08.09 病原体

新幹線・特急列車 コロナを防ぐ手洗い・手指消毒―夏とレジャーとコロナ対策 著者:矢野 邦夫

 

新幹線や特急列車に乗っていても、手洗いや手指消毒は重要な感染対策です。どうして、手洗いや手指消毒が大切なのでしょうか? それは、眼、鼻、口の粘膜に、ウイルスが付着した手指が直接触れることを避けるためです。ウイルスの体内への侵入口は眼、鼻、口の粘膜だけです。それ以外のところからは侵入しません。ウイルスが皮膚に付着したとしても、ウイルスが皮膚から体内に入り込むことはないのです。そのため、手指がウイルスで付着したとしても、その手指が眼、鼻、口の粘膜に触れる前にウイルスを除去すれば感染しません。

ときどき、「眼、鼻、口に触れなければ感染しないならば、触れないようにすればいいじゃないか?」と思われる人がいます。それは実行不可能な対応です。ほとんどの人が無意識に眼、鼻、口を頻繁に触れているからです。本人が気付かずに、触れているのです。本人は触れていないつもりでも、無意識に触れているのです。そのため、「触れる前に手洗いや手指消毒をしましょう」といっても、そのような絶妙なタイミングで手指を清潔にすることはできません。そのため、次善の策としては、短い間隔(20分間隔など)で何回も手洗いや手指消毒をすることが奨められます。もちろん、ドアノブや手すりのような「手指の高頻度接触面」に触れたと思ったら、即座に手洗いや手指消毒をすることは重要な対策ですが、それに加え、無意識に顔面に手指が触れてもよいように、頻回に手指を清潔にすることが有用なのです。

それでは手洗いと手指消毒のどちらが有用なのでしょうか? 手洗いをするためには、手洗い場まで移動しなくてはなりません。そして、石けんと水道水で手洗いをして、手を乾燥させる必要があります。このようなことを頻回に実行できるわけがありません。頻回に手指を清潔にするためには、アルコール手指消毒薬を携帯しておいて、それを使用するのが実践的と思います。子どもが座席を離れて、1人でトイレなどに行って戻ってきた場合、どこを触れたかわかりません。そのため、戻ってきたら、アルコール手指消毒をさせるとよいでしょう。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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