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2020.08.16 病原体

行楽地・サービスエリア訪問 トイレでのコロナを防ぐ!―夏とレジャーとコロナ対策 著者:矢野 邦夫

 

行楽地やサービスエリアのトイレは大勢の人々が使用しています。特に、観光の季節では相当数の人々がトイレを利用しています。最近は男性用トイレでも、一つ置きにしか利用できなくしているところが多くなりました。それでも、社会的距離の1~2mの距離は空いていないことがほとんどなので、マスクの着用は必要となります。女性用トイレは個室になっていることから、飛沫対策としては十分です。それでも、トイレが混み合っていて、多くの人々が列をなしているときには社会的距離を確保することが大切です。もし、社会的距離が取れないようならば、マスクを着用します。

「手指の高頻度接触面」については、男性用トイレではほとんど問題にならないと思います。トイレの出入り口から入って、出るまでの間、手指が触れるところがほとんどないからです。手洗い場の蛇口も自動になっていて、手をかざせば水が出てくるところが多いと思います。しかし、女性用トイレでは、各個室に出入りするときにドアノブに触れることがあります。また、温水洗浄便座を使用するときには、そこのスイッチに触れます。また、トイレの使用後に水を流すための洗浄ボタンにも触れます。それらは「手指の高頻度接触面」なので、その後の手洗いは重要です。

手洗い場に手指温風乾燥機があった場合は利用してください。濡れたままの手指はウイルスなどが付着しやすくなっています。また、ハンカチを使用した場合、そのハンカチが汚れていれば手指を再び汚染させてしまいます。手指温風乾燥機からエアロゾルが舞い上がって感染するので使用したくないと思う人がいますが、このウイルスは空気感染しません。また、手指温風乾燥機を介してクラスター(感染者集団)が発生したという報告も一つもないからです。

新型コロナウイルスが感染者の下痢便から検出されたということで、トイレの使用後に水を流したときにエアロゾル化して空気を汚染するのではないか、と心配する人もいますが、そのような感染経路で感染した人は報告されていません。そのため、トイレの空気に曝露することによって新型コロナウイルス感染症に罹患する心配はありません。そのように、空気を心配する余裕があるならば、飛沫予防と手指消毒に全力を注いだ方が、感染対策は向上すると思います。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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