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2020.08.08 病原体

新幹線・特急列車 食事でのコロナを防ぐ!―夏とレジャーとコロナ対策 著者:矢野 邦夫

 

現在、ユニバーサル・マスキングという常にマスクを着用するという感染対策が実施されています。正確にいうと、周囲の人から社会的距離である1~2mを保てない場合には必ずマスクを着用しよう、というのがユニバーサル・マスキングです。マスク着用の目的は、自分が感染者であった場合、周囲の人にウイルスを伝播させないというものですが、着用者も感染する確率が少し減るというデータもあります(1)。

車内での飲食をするときはマスクを取り外し、鼻や口などが解放されます。そのため、周囲の人が飲食しているときに、その人が感染者であった場合にはウイルスの伝播が心配されます。そのため、車内での飲食時には注意が必要です。この場合、「1人で飲食をする」「同居家族と一緒に飲食をする」「友人や同僚と一緒に飲食をする」の3つの状況のどれかで対応が異なります。

新幹線・特急列車の座席で1人で飲食をする場合、隣の席の人が食事をとっていなければ、また、隣の人と会話したりしなければ、感染する機会はほとんどありません。同居家族と一緒に飲食をする場合ですが、同居家族は日常的に一緒に飲食し、濃厚接触をしているので、車内で飲食しても、家族からの感染のリスクが増加することはありません。もちろん、周囲の人が同時に食事をしているときに、そのような人と言葉を交わしたりすると、感染のリスクは増加します。そうでなければ、1人で飲食をする場合と感染のリスクは変わりません。一方、友人や同僚と一緒に飲食をするとなると、感染のリスクは俄然、増加します。友人や同僚が感染していた場合、お互いにマスクを取り外して、楽しく会話したり、笑ったりすれば感染のリスクは大きく増大します。

これらを総合すると、新幹線・特急列車の座席で「1人で飲食をする」「同居家族と一緒に飲食をする」の場合は、周囲の人が同時に食事をしていても、そのような人と会話してしまうということがなければ感染することはないでしょう。しかし、「友人や同僚と一緒に飲食をする」のは避けたいと思います。1人が食事を終えたら、別の人が食事をするという時間差の食事や、全く会話をせずに、前だけを見て味気なく食事をすることになります。そのようなことは難しいかもしれませんが、「With コロナ」の時代では身を守るためにやむを得ないのかもしれません。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

〔文献〕
(1)Payne DC et al:SARS-CoV-2 infections and serologic responses from a sample of U.S. Navy service members — USS Theodore Roosevelt, April 2020.
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/pdfs/mm6923e4-H.pdf

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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