新型コロナウイルスの抗原検査が一般の方でも使えるようになりました。今は、感染流行の拡大で供給が追いつかない状況ですが、抗原検査がもつ性質を知ってセルフチェックとして使うことが大切です。なお、薬剤師の相談なしに買えるものは、性能保証をしていませんし、判断できるか不確かな唾液を使うものもありますので、注意が必要です。
まず、検査にはPCR検査と抗原検査がありますが、どちらもウイルスがいるかどうかを調べています。抗原検査は早くて簡単ですが、PCR検査と違ってかなりのウイルスがいないと「陽性」となりません。そのため、「陰性」の場合には「多くのウイルスがいない」だけであって、PCR検査では陽性となることもあります。通常は症状がない人よりある人の方がウイルスが多いので、抗原検査は「体調がすぐれない人に限って」利用できます。
また、ウイルスは主に鼻の奥(鼻咽頭)で増えますが、セルフチェックでは鼻の前の方(鼻腔)を綿棒で取ることになっています。つまり、医療施設で採取している鼻の奥よりもウイルスが少ないので、検査をすり抜ける可能性もあります。
抗原検査セルフチェックを行うときのポイントは3つです。
① いい検体を採る(採取)
取れていなければ検査の意味がありません。綿棒が湿っているのを確認しましょう。
② しっかり混ぜる(前処理)
懸濁液に入れるときに綿棒をチューブの壁で挟んで、回転させて粘液を絞り出しましょう。挟めなければ壁に押し付けます。
③ 滴下数と時間を守る(検査)
結果が変わることがあるので、決められた滴下数と反応時間を守りましょう。
①と②は、③につなげるための大切な過程です。セルフチェックは自身の健康管理と周囲に感染を拡げないために行うものです。抗原検査で陰性となっても陰性証明にはなりませんので、これまでどおりマスクを上手に使ったライフスタイルである“ユニバーサルマスクポリシー”を続けていきましょう。
(著者:富山大学学術研究部医学系微生物学講座 教授 森永 芳智)