10月下旬から愛知県では新型コロナウイルスの新規感染者の増加がみられるようになり、11月には1日100名を超える新規感染者が発生し、200名を超える日もみられるようになっています。10月21日から11月26日までの約5週間で3,600名を超える新規感染者が発生し、7、8月の第2波の4,000名を超える勢いです。医療・高齢者施設や繁華街の飲食店などでのクラスター発生がみられる一方、感染経路不明者も増加してきています。
このように感染拡大が深刻化する中、愛知県は11月19日付の「県民・事業者の皆様へのお願い」により、「厳重警戒」として「基本的な感染防止対策の徹底」、「感染拡大予防ガイドライン等の徹底」、「高齢者等への拡大防止」、「年末年始における感染防止対策の徹底」による感染防止対策の徹底を呼び掛けました。また11月26日には、名古屋市の繁華街で酒類を提供する飲食店やカラオケ店に対し、11月29日から12月18日までの20日間の営業時間短縮を要請すると発表しました。今後の状況次第では対象地域の拡大や期間の延長を検討する考えのようです。
第3波の中等症・重症者は11.4%と第2波のそれを上回り、名古屋市内の重点医療機関・協力機関における新型コロナ患者用病床は約9割が埋まってきており、病床の拡大のため準備病床の早期運用を行政から要請されている現状です。一方、10月から新たに開設されている愛知県の新型コロナ専門病院は、私たちの施設などからも呼吸器専門医など複数の医師を派遣していますが、派遣人員の構成や施設の設備面などから、急性期の患者診療に困難を生じている状況が伝えられています。また、無症状・軽症者を収容する2か所の宿泊療養施設にも100名近い感染者が入居しており、さらなる拡充を進めるべく、愛知県は11月27日に新たな施設の開設を発表しました。しかしながら、これらの施設への医療従事者の派遣についても課題が予想されます。
(著者:名古屋市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学 教授 中村 敦)