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2020.09.23 病原体

受験に向けた新型コロナ対策の心構え 著者:矢野 邦夫

 

高校受験や大学受験など大切な試験を控えている受験生は数多いと思います。これまで一所懸命に勉強して積み重ねてきた努力の結果を勝ち取りたいけれども、試験の直前や真っ最中に新型コロナウイルスに感染すれば、例え、軽症であっても、無症状であっても、隔離されることになります。その結果、勉強に集中できないばかりでなく、試験を受けることすら困難になるかもしれません。そのようなことを避けるために、新型コロナウイルスから受験生を守るノウハウを紹介したいと思います。

このウイルスは感染者の口や鼻から飛び出す飛沫を吸い込むことによって感染します。飛沫は2メートル以上飛ぶことはできないので、感染者から2メートルの距離があれば感染しません。2メートル以内に近付くならば、マスクを装着して飛沫の吸い込みを避ければよいのです。この場合、マスクで鼻と口の両方を覆うことが大切です。このウイルスは電車やバスの釣り革のような環境表面には最大3日間生息しているので、そのような所に触れた後には手洗いをします。ウイルスが付着した手指で目や鼻を擦ることによって、そこから体内に入り込んでしまうからです。外出中は20~30分毎にアルコール手指消毒をすることも有効です。

このような対策を徹底していても、感染してしまう機会は2つあります。それは「学校や塾での食事中」と「家庭内」です。食事中はマスクを取り外すことになります。このとき、周囲2メートル以内に感染者がいれば、会話などで発生した飛沫を吸い込む危険性があります。そのため、「周囲の人と向かい合って座らない」「会話をしない」ということが大切です。家庭内では家族と長時間接触します。そして、食事を一緒にしたり、タオルを共有するので、感染しやすい状況といえます。実際、家族内に感染者がいた場合の感染のリスクは10~40%と言われています(1)。そのため、受験前には家族であっても、2メートルの距離を空けるようにし、食事は1人で取るようにします。そして、タオルなどの共有も避けます。もちろん、手洗いや手指消毒は頻回に行います。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

〔文献〕
(1)Klompas M et al:Airborne transmission of SARS-CoV-2:Theoretical considerations and available evidence.JAMA 324(5):441-442, 2020

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。

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