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2020.05.01 病原体

子供が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した時の入院・療養 著者:森岡 一朗

 

新型コロナウイルスが全世界で流行する中、子供が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症することは成人に比べ少なく、重症化率も低いことが示されています。しかしながら、我が国でもすでに、実際に子供の発症者が出現していますし、家族内感染も起こっています。いざ、我が子が感染した場合、どのような療養環境になるかが、保護者にとって非常に気になることと思います。

大学病院やこども病院など小児病棟を有する施設では、保護者が付き添わなくても子供が入院できる環境を整えています。しかし、今回のCOVID-19の場合は、あえて親子で入院や療養施設に入所するケースが想定されています(1)。子供の病状に加えて、保護者の感染の有無により対応が異なります。ただし、これは1つの方策ですので、地域の感染状況や施設の人員確保、家族の状況ごとに、柔軟に対応する必要があります(1)。

■1.保護者も感染している場合

基本的には子供も保護者も一緒に入院や療養が行われます。子供が保護者と一緒に入院・療養することにより、子供の精神的ケアにつながり、医療従事者の負担も軽減されます(1)。注意して頂きたいのは、保護者も感染者ですので、自身のCOVID-19の症状の悪化には注意する必要があります。それゆえ、感染した保護者の症状の程度により、保護者と子供を同室にするか別室にするかを判断する必要があります。

■2.保護者は感染していない場合(保護者は濃厚接触者となる場合が多い)

保護者は感染者ではありませんので、手洗いや手指消毒、マスクや手袋着用など十分な感染防御策を行った上で、付き添って頂くことを考慮する必要があります。保護者は付き添うことにより新型コロナウイルスに感染する可能性がありますので、保護者が感染するリスクに同意を得た上で行う必要があります(1)。保護者にとって苦渋の選択になります。

〔文献〕
(1)日本小児科学会新型コロナウイルス感染症対策ワーキンググループ. 小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解〜入院や付き添いの考え方も含めて〜. http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=114(2020年4月27日アクセス)

著者プロフィール

森岡 一朗(もりおか いちろう)

日本大学医学部小児科学系小児科学分野 主任教授

日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医・指導医。日本新生児成育医学会の理事・予防接種感染対策委員長を務める。専門は、新生児・小児感染症、新生児医学、小児の成長・発達。これらに関する英文学術論文を多く発表している。主な著書に、日常診療と看護ケアのためのNICU感染対策(ヴァンメディカル刊)、新生児学テキスト(メディカ出版刊)がある。

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