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2020.07.15 病原体

新型コロナ“くらし”の感染対策あるある(スーパーレジ係の手袋)―感染管理看護師(ICN)からの発信

著者:残間由美子

以前から、ファストフード店の店員さんが、食品を扱う時に手袋をしていましたが、最近はスーパーのレジ担当の方も手袋をしているのが当たり前になりました。

なぜ、なにゆえに?…新型コロナウイルス感染症予防の業界ガイドラインがそう推奨しているのだろうか?と思い、調べてみることにしました。

『小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン(2020年5月22日改訂)』(1)では「接触感染防止として、従業員によるマスク等の着用や、こまめな手洗い・手指消毒を励行する。 従業員が対面による販売・説明・サービスを行う際などには、感染予防の観点から、マスクやフェイスシールド等の着用等による必要な感染予防の措置を行う」となっていました。手袋を着用する場面は「“ゴミを回収する人”は、マスクや手袋を着用し、マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石鹸と流水で手を洗う」となっていました。

医療関連施設で手袋を着用する場面は、体から出る尿や便、痰などのような物に触れる可能性のある場合に、医療従事者を守るために使用します。使用方法は、一つの処置またはケア毎に交換します。交換後は手洗いまたは手指消毒を行います。手袋を外した後の手洗いが大切なのは、手袋には小さな穴が開いていることや、手袋を脱ぐときに自分の手を汚すことが知られているからです。では、手袋の上から消毒すればいいと考えるかもしれませんが、アルコールにより手袋の劣化が進みますので、手袋で防護するという意味がなくなります。

会計時にお客さんのお札を触ることがあるので、手袋をして自分を守ることはできるかもしれませんが、その手袋で次々に品物を触っているのを見ると、「あ~」と思ってしまう自分がいます。

今つけている手袋はいつ換えているのでしょうか? 買い物客としては、頻回に手指消毒をしている姿を見るほうが安心します。

これまでは、手の消毒薬がなかなか手に入らなかったので、手袋で代用したのかもしれません。そろそろ、一人の会計が終わる毎に、手の消毒を行うという方法に変えてみませんか?

ちなみに私はセルフレジを使用し、キャッシュレス決済派です。

(著者:公益財団法人宮城厚生協会坂総合病院感染制御室 室長 残間由美子)

〔文献〕
(1)小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン.
http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/corona-retail-guideline20200522.pdf

著者プロフィール

残間由美子(ざんま ゆみこ)

公益財団法人宮城厚生協会坂総合病院感染制御室 室長

看護師、感染管理認定看護師。看護学修士(感染管理・感染看護分野)。 所属学会 日本環境感染学会、日本感染管理ネットワーク学会。 第7回日本感染管理ネットワーク学会学術集会会長。厚労省クラスター班(助勤)。 著書(分担)に、The 標準予防策(ヴァンメディカル刊)などがある。