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2020.06.29 病原体

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(社会的距離とマスク)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

著者:矢野 邦夫

「フォーク」と「箸」の形状は似ても似つかないのですが、目的は同じです。それは「食べ物を食器から口に運ぶ」ということです。そのどちらを使用するかは状況によります。フランス料理を食べる時はナイフとフォークを用いることでしょう。箸でフランス料理を食べることはないと思います。一方、ラーメンを食べる時は箸を用います。フォークで食べるとラーメンの味がしなくなってしまいます。それでは、バイキングや和洋折衷料理を食べる時はどうでしょうか? おそらく、フォークも箸もゴチャゴチャになって使用されることでしょう。この人はフォーク、あの人は箸というように。。。

「社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)」と「マスク」も似ても似つかないのですが、目的は同じです。それは「飛沫が人から人に届かないようにする」ためです。社会的距離を空けていれば、飛沫は途中で落下することでしょう。マスクを着用していれば、飛沫が飛び出さないことでしょう。

広い公園を散歩している時は社会的距離が確保されているので、飛沫が人から人に到達することはありません。そのため、マスクを着用する必要はありません。一方、満員電車やバスに乗車する時には社会的距離を確保することは不可能なので、マスクを必ず着用することになります(1,2)。社会的距離が確保できるかどうかが微妙なところでは、社会的距離を取りつつ、マスクを着用することになります。もちろん、マスクは着用者を感染から守るのではなく、着用者から周囲の人々にウイルスが伝播すること防ぐことが目的であることは言うまでもありません・・・

記事全文はこちらの書籍にて

 

 

 

 

 

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。