緊急事態宣言が各地で解除され、学校閉鎖も解かれつつあります。しかし、学校が再開することによって、COVID-19が再び市中に蔓延することは是非とも避けなければなりません。そのためには、実施すべきことがあり、WHOは学校のための感染対策の推奨の公開をしています(1)。そこでは、「手指衛生の強化」「マスクの着用」「物理的距離の確保」「手指の高頻度接触面の洗浄と消毒」「病気の生徒やスタッフの自宅待機」などが推奨されていますが、特に興味深い部分を抜粋して紹介します。
- 非接触性の挨拶をする(訳者註:握手、ハグ、キスなどは接触性である)。
- 家族の誰かにCOVID-19の疑いがあれば、生徒は自宅待機し、学校に連絡する。
- ワクチンで予防可能な疾患(麻疹など)の予防接種状況を確認する(訳者註:麻疹などの感染症は発症直後はCOVID-19と区別がつかないので、罹患しないようにすることが大切である)。
- 特に幼児には手指衛生を頻回に実施するようにスケジュールを立てておく(訳者註:年長小児であれば自発的に頻回に手指衛生できるが、幼児では困難である)。
- ジムやスポーツ施設では更衣室での掃除の頻度を増やし、施設を通る選手は一方通行とし、ロッカールームに同時に入ることができる人数を制限する。
- COVID-19の流行期には欠席した場合の理由として、医師の診断書を求めることはしない。
- 建物に入る時には体温測定だけでなく、過去24時間の発熱の有無も毎日スクリーニングする。
- 机の間隔は少なくとも1メートルとする。
- 高校では時間割を拡大し、一部の生徒と教師は午前に出席し、他は午後、他は夕方に出席する。
- 可能であれば、教室あたりの生徒数を減らすために、教師の数を増やす。
- 屋外の授業とするか、教室をできるだけ換気する。
(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)
〔文献〕
(1)WHO:Considerations for school-related public health measures in the context of COVID-19.
https://www.who.int/publications-detail/considerations-for-school-related-public-health-measures-in-the-context-of-covid-19