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2023.05.12 病原体

新型コロナ5類移行後はどの感染対策が必要? ~日常編~

著者:矢野 邦夫

新型コロナに感染しても、重症化することが少なくなり、デルタ株の流行時(2021年7月~9月)にみられたようなウイルス肺炎を合併することはほとんどなくなりました。しかし、日常的な活動が低下している70歳以上の高齢者(寝たきり高齢者など)が感染すれば、発熱と食欲低下によって脱水となったり、誤嚥性肺炎を併発して入院が必要になることがあります。したがって、これらの人々を感染から守ることが大切であり、万が一感染したときの迅速な対応が必要となります。重症化しやすい人々を守る対応が行われる限り、新型コロナ前の生活に戻してよいと考えます。すなわち、新型コロナの前のように「マスクなしの通勤や通学」「友人とビアガーデンなどを楽しむ」などは再び可能になったと思います。ここでコロナ禍の期間に実施されてきた対策を今後どうするかについて述べます。

■マスク

新型コロナの流行によって、常時マスクを着用してきましたが、これは必要なくなります。ただし、発熱や咳などの症状がある人は咳エチケットとして、マスクを着用します。マスクを持っていない場合には、腕やハンカチなどで口と鼻を覆います。

■身体的距離

周囲の人々から1メートル以上の距離を保つことも必要なくなります。ただし、発熱や咳などの症状がある人は距離をあける必要があります。

■換気

換気やサーキュレーターによるエアロゾル感染の防止は引き続き必要です。インフルエンザもエアロゾル感染をすることがあります。空気中に浮遊するウイルス濃度を薄めることが大切です。

■手指消毒

多くの風邪ウイルスや食中毒などは手指を介して伝播します。新型コロナ以外の感染症を防ぐためにも手指消毒は引き続き必要です。

■ワクチン

ワクチンを接種しても感染を防ぐことはできないかもしれません。しかし、重症化予防の効果は期待できます。したがって、高齢者や基礎疾患のある人にワクチン接種の案内が来た場合には、必ず接種しましょう。それ以外の人々も接種の案内が来たら接種しましょう。常に免疫を最適化しておくことが大切だからです。

(著者:浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「透析室の感染対策まるわかりBOOK」「アフターワクチンの新型コロナ感染対策」「感染対策超入門―成功の秘訣」「がっちり万全な 新型コロナ感染対策 受験編20」「ばっちり安心な 新型コロナ感染対策 旅行編20」「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」(以上、ヴァン メディカル刊)など。