「友人同士や会社の同僚とランチ・飲み会ができるかどうか?」「お酒を飲みながら忘年会や新年会でワイワイと騒いでよいか?」という質問はとても重要です。私たちは日常では仕事や学業をしていて、上司や部下や友人との人間関係がギクシャクすることも多々経験します。そのようなときには、アルコールを飲みながら、腹を割って大騒ぎすれば、職場の人々や学校の友人との人間関係を一気に改善できます。また、若い人では、宴会でアルコールを飲みながらエネルギーを発散することもあるでしょう。ランチ・飲み会・宴会をマスクなしで、かつ、アルコールありで実施できるかどうかは極めて重要な問題です。
このようなランチ・飲み会などを多人数で開催すれば、大規模なクラスターを引き起こすことがあります(1)。そのため、ほとんどのワクチン接種希望者が二回接種を終えている現時点であっても、是非ともまだ避けていただきたいと思います。この時点での感染対策の緩和は、感染者数を増大させる可能性があるからです。多くの人々が二回接種を終えているといっても、参加者の中にはブレイクスルー感染した人がいるかもしれません。そのような人は大量のウイルスを気道から放出しています。また、ランチ・飲み会などに出席している人の中にはワクチン未接種者もいるかもしれません。このような人が感染すれば、重症化する可能性があります。多人数でのアルコールありの宴会を開くためには、それ相応の条件が必要です。少なくとも、「ほとんどのワクチン接種希望者が二回目を接種した」というだけでは条件を満たしていないと考えるべきです。
それでは、いつになったらマスクなしで多人数での宴会(忘年会、新年会、歓送迎会など)ができるのでしょうか? 今後も延々と宴会禁止などというのは不可能です。それは、禁止された人々のみならず、飲食店で勤務する人々の生活を大きく脅かすからです。どこかで、制限を解除すべきです。
おそらく、「ほとんどのワクチン接種希望者が三回目を接種して、二週間以上が経過した頃」には束縛はなくなることでしょう。この頃であれば、免疫状態が格段に強化されているからです。ブレイクスルー感染もほとんど発生せず、万が一、ブレイクスルー感染したとしても、その人がウイルスをまき散らすことはなくなります。そのような状況であれば、アルコールを飲みながら、マスクなしの宴会は十分に可能と思います。
〔文献〕
(1)Sami S et al:Community transmission of SARS-CoV-2 associated with a local bar opening event — Illinois, February 2021
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/pdfs/mm7014e3-H.pdf
(著者:浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野 邦夫)
【掲載】
2021年11月刊行新刊書籍「アフターワクチンの新型コロナ感染対策―ワクチン接種後のモヤっとを解決!」(矢野邦夫 著,ヴァンメディカル刊)より