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2020.12.25 領域・分野別

新型コロナ診療にあたる医療従事者のうつ対処法

著者:山本 晴義

医療従事者としてコロナ禍の最前線に立ち続けるストレスは相当なものです。責任感や無力感、不安、孤独、怒りなどを強く感じるかもしれません。不眠や食欲不振など、身体症状があらわれる場合もあります。それは「異常」な状況に対する「正常」な反応です。

ただし、そんな「いつもと違う」自分を放っておくと、やがて生活に支障をきたし、うつ病などのメンタルヘルス不調につながります。セルフケア(自分自身のケアをする)を怠らないことが大切です。

そのためにおすすめしたいのは、「ストレス一日決算主義」の生活です。「運動」「労働」「睡眠」「休養」「食事」の5要素を“毎日”バランスよく取り、ストレスを次の日に持ち越さないことがポイントです。

まずは「運動」。仕事から離れて体を動かす習慣を持ちましょう。習い事やジム通いは難しくても、一日15分ほどの散歩やストレッチなどでも十分効果があります。

次に「労働」。日本を支える素晴らしい仕事をしていらっしゃいます。どうかご自身の存在意義を日々感じてください。

十分な「睡眠」を取ることも大切です。休日の寝溜めは生活リズムを乱します。「早寝早起き」ではなく「早起き早寝」習慣を持ちましょう。毎日決まった時間に起きることで、自然に早く眠れるようになります。

「休養」は心の潤滑油です。活動が制限されても、その中でできる趣味や楽しみがあるはずです。オンラインツールを使えば、直接会わずともコミュニケーションの場を広げることもできます。

最後に「食事」。特に朝食は一日の活動源なので、意識して取るようにしましょう。また、感染対策は講じつつ、可能な範囲で家族と食卓を囲んでみてください。

それでも不調をきたすようなら、ためらわず精神科や心療内科を受診しましょう。横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターでは無料のメール相談(mental-tel@yokohamah.josas.go.jp)も受け付けています。1人で悩まないことが大切です。ともに乗り越えましょう。

(著者:横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 山本 晴義)

著者プロフィール

山本 晴義(やまもと はるよし)

横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長
埼玉学園大学 客員教授

1972年東北大学医学部卒業後、岩手県立病院で内科・精神科の研修を終え、1976年東北大学心療内科助手、呉羽総合病院心療内科部長、梅田病院院長を経て、1991年横浜労災病院心療内科部長、1998年より現職。
〔資格〕日本医師会認定産業医、日本職業災害医学会認定労災補償指導医、日本内科学会認定内科医、日本心身医学会認定専門医・指導医、日本精神神経学会認定専門医、日本温泉気候物理医学会認定温泉療法医など、2018年緑十字賞受賞
〔著書〕2020年11月に「メールカウンセリング エッセンス」(労働調査会)、「ストレスチェック完全攻略」(日本医事新報社)、「心の回復6つの習慣」(集英社)、「ストレス一日決算主義」(NHK出版)など