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2020.08.07 病原体

新型コロナ“くらし”の感染対策あるある(手指のよく触れる場所)―感染管理看護師(ICN)からの発信

著者:中根 香織

病院では手指がよく触れる場所(ベッド柵、電気のスイッチ、テーブル、ドアノブ、洗面台など:高頻度接触部位)を毎日清掃する(低水準消毒薬でふきとる)ことは、感染対策の基本となっています。コロナウイルスの流行により、手洗いやマスクの着用と一緒に、いろんな場所で手指のよく触れる場所が清掃されています。電車のつり革や待合の椅子、エレベーターのボタンなど。私は電車通勤(朝の満員電車)なので、つり革につかまらざるを得ない。つり革につかまったら、絶対にその手で顔を触らないよう注意します。これは感染対策が主な仕事になってからの習慣です。必ず新人研修では、仕事中に首から上を触らなくてもいいように準備する(髪を留める、自分の癖を知る)ことを伝えます。接触感染では粘膜(口、鼻、眼)から病原微生物がうつるからです。手指のよく触れる場所を毎日清掃することは、100%手洗いができない時の感染リスクを減らす方法です。

こんな張り紙を見かけました。「エレベーターのボタンを触ったら手を消毒しましょう」ボタンを触るたびに手を消毒していたら、消毒薬がどのくらい必要になるのでしょうか。確かに手指のよく触れる場所を触るとウイルスや細菌が付着する可能性があります。ただ、本当に必要な場所・場面で手の消毒ができるように、消毒薬の使い方は考える必要があると思います。エレベーターのボタンを肘で押してみました。小さなボタンでなければ押せます。まわりの方にちょっと見られるかもしれませんが…。音声で反応したり、Pepper(ペッパー)くんが操作してくれたらいいのにと思っていたら、非接触ボタン(赤外線ビーム式センサー)が実用化されているようです。

職場や公共施設の感染対策が進みます。残るは自宅です。自宅のドアノブや電気のスイッチを毎日(私は)清掃できません。私は手洗いに自信がありますが、同居人(夫)はトイレの後に石けんで手を洗っているのだろうか? と思いますが、あれこれ言っても私の言うことなどもう聞きません。コロナウイルスが流行してから、ドアノブも電気のスイッチも肘で押しています。肘にウイルスが付いてしまうと心配になるかもしれませんが、肘で顔を触ることはないので大丈夫です。

(著者:昭和大学病院 看護部 中根香織)

著者プロフィール

中根 香織(なかね かおり)

昭和大学病院 看護部

看護師、感染症看護専門看護師。東京都院内感染対策推進事業指導員、緩和医療学会安全感染委員。