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2020.03.27 病原体

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策

著者:矢野 邦夫

2019年末に中国武漢市より始まった新型コロナウイルス感染症は瞬く間に中国全土に広がり、世界に飛び火しました。日本にも上陸し、クルーズ船での集団感染が発生し、多くの人々が巻き込まれました。ここでは、新型コロナウイルスの感染対策における重要ポイントを述べます。

・  新型コロナウイルス対策では「標準予防策+接触予防策+飛沫予防策」を実施します。特に、眼を飛沫から守るゴーグルやフェイスシールドの着用は大切です。エアロゾルが産生されるような状況(挿管、人工呼吸器管理、高流量酸素療法など)であれば、空気予防策を併用します。

・  このような対策では個人防護具が必須となりますが、それらは適切に着用し、適切に取り外さない限り、効果が期待できません。サージカルマスクを着用したとしても、鼻を出していたら飛沫に曝露します。N95マスクはフィットテストが合格したものでない限り、顔面皮膚とマスクの間隙から空気が流れ込む可能性があります。

・  患者ケア後に個人防護具を取り外すときは特に注意が必要です。手袋は最も汚染しているので、これを最初に取り外します。手袋を着用したまま、ガウンやマスクなどを取り外そうとすると、その周囲を汚染してしまうからです。手袋を取り外したあとには手指衛生は必ず実施しなければなりません。手袋を取り外すときに手首などを汚染させている可能性があるからです。同様に、ガウンやマスクなどを取り外したあとの手指衛生も必須です。

・  個人防護具の着脱をするときには「訓練された立会人」が直接監督することをお勧めします。日常的に使用している個人防護具であっても第三者が着脱を監督していると、様々な綻びを見つけだすことができます。

・  個人防護具は容易に廃棄できるものを選択します。マスコミの映像で時々でてくる「全身防護具」は病院での感染対策には不向きです。自分や周囲環境を汚染しないで取り外すことが困難だからです。また、着用したままで、食事やトイレをするも危険なことです。

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。