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2021.04.14 病原体

集まって写真を撮るときにマスクを外して大丈夫?

著者:矢野 邦夫

同窓会、団体旅行、歓送迎会などでは記念写真を撮ることが多いと思います。そのとき、「撮る時ぐらいはマスクを外して顔を出してもいいんじゃないか?」と言う人が多いのではないでしょうか。一方、写真を撮る際も、人々が集まっていれば「密」であり、そのようなところでマスクを取り外せばコロナウイルスに感染してしまうのではないかと心配する人もいます。その両方に応えるためには、どのようにすればよいのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症の患者は、発症前日が最も多くウイルスを排出します。そのような人に、1メートル以内に近寄れば、感染してしまうことでしょう。マスクを着用しなかったり、マスクをしていても鼻を出している人がいます。また、布マスクやウレタンマスクなどでは何回も洗っていると緩んできて、マスクと顔に大きな隙間ができてしまいます。そのような状況の感染者が、記念写真を撮るために集まった人々の中に紛れ込んだら、クラスターは容易に発生することでしょう。

もちろん、集合して写真を撮らないに越したことはありません。マスクを着けながらの記念写真というのもあります。しかし、それは味気ないものであり、記念写真の体をなしていません。多くの人々が「折角の機会なんだから」と言って、マスクなしの写真を希望すると思います。その場合に大切なことは「マスクを取り外す時間を最短にする」ということです。

これまでは、撮影者が集団から数メートル離れたところから「チーズ」といったときに、人々が「笑顔を作る」という行為を行ってきました。しかし、Withコロナの時代は「1、2、3」ではないでしょうか?「1」が「マスクを外す」、「2」が「笑顔を作る」、「3」が「マスクを着用する」です。「笑顔を作る」前後に「マスクを取り外す」「マスクを着用する」という行為を入れるのです。これら3つの行為を5秒程度で実施できればベストかもしれません。最初は、不慣れで、息が合わないかもしれませんが、何回も実施すると上手くなることでしょう。もちろん、写真を撮っている間は何も声を出さない「黙撮」も大切です。このときは、5秒間ほど息を止めるとよいかもしれません。また、数十人単位での記念写真であるならば、屋外や換気の良好な部屋での撮影が必要です。

(著者:浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野 邦夫)

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「がっちり万全な 新型コロナ感染対策 受験編20」「ばっちり安心な 新型コロナ感染対策 旅行編20」「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」「救急医療の感染対策がわかる本」「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(以上、ヴァン メディカル刊)など。