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2020.10.20 病原体

〔塾・予備校編〕コロナを防げる学習環境を知る―受験生を守るコロナ感染対策

著者:矢野 邦夫

塾や予備校の状況が安全かどうかは受験生にとってとても重要なことです。多くの受験生が集まっている環境であるため、十分な対策が必要だからです。

最も大切なことは2つあります。「全員がマスクを着用していること」「20~30分毎に手指消毒をすること」です。座席間に身体的距離(1~2m)が確保されていればマスクは必要ないのですが、そのような教室はほとんどないと思います。そのため、マスクを着用させて、受験生をお互いの飛沫から守ります。同時に、ウイルスが付着している手指で眼や鼻の粘膜に触れる前の手指消毒が必要です。教室では全員が、持参したアルコール手指消毒薬で繰り返し(20~30分毎)、手指消毒をすることが理想的です。

受験生にアルコール手指消毒の重要性を認識させるために、校舎の玄関・受付、各教室前・ラウンジ・自習室入り口などにアルコール手指消毒薬を設置することも適切です。ここに設置すれば、アルコールを持参することを忘れた受験生も利用できます。ときどき、アルコールではなく、次亜塩素酸水のボトルを設置しているところがあります。次亜塩素酸水は物品の消毒に使用するのであって、手指の消毒には不適切です。

生徒の各座席の椅子の間(机の上ではない)に衝立やアクリル板があれば、着席のときにはマスクは必要ないでしょう。隣の座席への飛沫の拡散を防ぐことができるからです。そして、講師と生徒の間に身体的距離が確保されていれば、講師はマスクもフェイスシールドも不要です。飛沫は1~2m以上飛散することはないからです。ビニールシートについても、講師と生徒の間に身体的距離が確保されていれば、設置は不要です。もちろん、講師は大声を出すのではなく、日常会話のボリュームで話します。授業中、手袋を着用し続けている講師がいますが、アルコール手指消毒を繰り返す方が格段に有効です。手袋を着用していると、その間は手指消毒ができません。また、手袋が汚染した場合、そのまま様々なところに触れれば、ウイルスを付着させてしまいます。・・・

記事全文はこちらの書籍にて

 

 

 

 

 

著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。