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2020.04.29 病原体

保育園における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策

著者:森岡 一朗

我が国の保育園の現場において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やクラスター感染が発生しており、その感染対策は注目されています。2020年4月27日現在、全国的に小学校や中学校は休校措置が続いている一方、保育園や学童保育は継続されています。保育園における感染対策についてまとめます。

■1.園児および職員の健康チェック

登園前の自宅での検温や登園後の健康チェックが勧められます(1)。チェック項目としては、体温、咳や鼻汁、喉の痛み、頭痛、元気のなさなどを確認します。微熱に関して、子供は平熱のレベルの個人差が大きいため、値だけでなく普段の体温と比較してどうかも重要です。咳や鼻汁などの感冒様症状がある場合は、たとえ元気そうでも登園を控えて頂くのが良いと思います(1)。

■2.飛沫感染対策

COVID-19に限らず、園児は容易にウイルスに感染し、咳や鼻汁などの症状を呈します。咳や鼻汁などがある場合は、子供でも可能な限りマスクをしてもらうのが良いと思います。マスクが難しい場合は、可能な範囲で、ティッシュペーパーなどで口をカバーして咳エチケットに心がける必要があります。1時間に1回、最低3〜5分間の換気も忘れずに行います。空気清浄機は換気の代わりになりませんので注意が必要です(1)。

■3.接触感染対策

接触感染の予防は、何と言っても手洗いです。石鹸と流水を使って20秒以上の手洗い、消毒用アルコールでの手指消毒をこまめに行います。園児や職員自身の手洗いだけでなく、よく触れるもの、例えば、机、椅子、ドアノブ、おもちゃなど普段なら気にかけないところも消毒(アルコール清拭)を行う必要があります。もう1つ、接触感染で注意が必要なのは、オムツ替えです。新型コロナウイルスは、糞便に含まれている可能性があります。使い捨て手袋やマスクを着用し、手洗いを十分に行います。下痢や吐物を処理する場合は、保育者はガウン、マスク、使い捨て手袋の着用で行うのが良いです。汚染箇所は、0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで拭いた後、水拭きやアルコール清拭を行います(1)。

〔文献〕
(1)日本小児感染症学会 新型コロナウイルス感染症に関するワーキンググループ. 保育園における新型コロナウイルス感染症に関する手引き. http://www.jspid.jp/news/2003_covid19_1.pdf(2020年4月27日アクセス)

著者プロフィール

森岡 一朗(もりおか いちろう)

日本大学医学部小児科学系小児科学分野 主任教授

日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医・指導医。日本新生児成育医学会の理事・予防接種感染対策委員長を務める。専門は、新生児・小児感染症、新生児医学、小児の成長・発達。これらに関する英文学術論文を多く発表している。主な著書に、日常診療と看護ケアのためのNICU感染対策(ヴァンメディカル刊)、新生児学テキスト(メディカ出版刊)がある。