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2020.10.21 病原体

〔家族と自宅編〕コロナの持ち込みを防ぐ!―受験生を守るコロナ感染対策

著者:矢野 邦夫

受験生の自宅に新型コロナを持ち込むことは、是非とも避けたいと思います。そのためには、玄関にアルコール手指消毒薬を設置しておき、すべての家族は帰宅時に手指消毒をします。それによって、手指に付着しているウイルスが自宅の環境表面や物品に付着することを避けることができます。同時に、マスクも玄関で取り外すようにします。表面にウイルスが付着しているかもしれないからです。使い捨てマスクならばそのままゴミ箱に廃棄します。布マスクであれば、洗濯機に入れて、他の衣類と一緒に洗濯します。マスクを取り外すときには、手指消毒をしてから耳紐部分をつかんで取り外します。マスクの外表面にはウイルスが付着しているかもしれないからです。そして、マスクを取り外した後には再度、手指消毒をします。

カバンや荷物などは他の人々が頻繁に手指を触れるような物品ではないことから、それほど厳しく対応する必要はありません。しかし、その表面にはウイルスが付着している可能性は否定できないので、それらに触れたら手指消毒をします。コートなどについては、玄関に吊るしておきます。上着も通常の取り扱いで構いません。ときどき、コートや上着などにアルコールを噴霧している人がいますが、それは止めましょう。消毒薬の噴霧は効果が期待できないばかりでなく、吸い込んでしまうので有害です。消毒薬が効果を示すためには、ある程度の接触時間が必要です。噴霧したからといって、コートや上着の表面に満遍なくアルコールが染み透るということはありません。また、アルコールを噴霧したとしても、その多くが途中で揮発してしまいます。

受験生の衣類の洗濯については、他の家族の衣類と一緒でかまいません。例え、家族の誰かが感染者であったとしても、洗濯後の衣類が感染源になることはないからです。洗濯機では大量の水道水が使用されて、衣類が洗濯されるので、たとえ、新型コロナが付着していたとしても、洗い流されてしまいます。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

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著者プロフィール

矢野 邦夫(やの くにお)

浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長

インフェクションコントロールドクター,日本感染症学会専門医・指導医。感染制御の専門家として多くの著書・論文を発表している。主な書籍に「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」「7日間できらりマスター 標準予防策・経路別予防策と耐性菌対策」,「救急医療の感染対策がわかる本」,「知って防ぐ!耐性菌 ESBL産生菌・MRSA・MDRP」(ヴァン メディカル刊)など。